一人遊園地 Vol.02
キョロキョロと挙動不審な女一人。思えば今日は変な下着じゃないか。
台風の風吹き荒れる中、妙齢な女一人でジェットコースターに乗るべく後楽園を訪ねました。
なぜ一人でかというと特に意味はなく、寂しさ覚悟で夕暮れの遊園地へいざ出陣!
Text/Photo:遠藤 香

激しく曇天。周りを見回しても女一人は私だけ。
キョロキョロと挙動不審にフリーパスポート売り場を探し、売店のかわいいお姉さんに軽く劣等感を抱き「フリーパス大人一、二枚ください。」と、一人できたくせに訳のわからないことを言ってしまう。
「一枚ですね。」と事務的に対応され、悲痛な思い。
この時点で、寂しさはピーク。何も乗らないで帰ろうかと思ってしまいました。
けれど、私は大人だ。目的を達成したい。向かうはLaQua内を、所狭しと駆けめぐるサンダードルフィン!
そんな心意気で、じめじめと肌にまとわりつく嫌な湿気とラブラブなアベックの群れに負けることなく、待ち時間の30分をやり過ごしました。
サンダードルフィンは約80mの高さから約80度で一気に駆け抜けます。ドキドキと高鳴る心拍数で緊張はピークへ。
カタカタカタと登り、一気に急降下!さすが都会の遊園地、壁や観覧車、東京ドームすれすれを滑走します。キャーキャーと女子が叫ぶ中一人両手を上げ無言で終着し、手汗を握り続けました。
ジェットコースターの楽しさを肌に感じながら、コースター滑走中に撮られる写真は勿論スルーし、次なる目的地・急流流しワンダードロップへ。
こちらは並ばずにすんなり乗車。ガタガタと風に揺られ、頂上に達した瞬間にブザーが。
「大変申し訳ございません。少々お待ちください。」
台風の為風が強く、どんどん体温は低下し不安感はどんどんつのる。「私の前に出発した子供たちが飛び出して死んだのだろうか」「このまま落ちてしまって病院に運ばれたとして、今日は変な下着じゃないか」「変な書置きを家においてきてしまった」
と、邪念で脳内は支配される。
とても楽しそうな皆さんを、拍手出迎え(上)。
目指すはワンダードロップ(下)。
実はよく止まると有名だったらしい・・・
待つことなんと20分。すでに意識は朦朧とし不安感も遠のき、空腹に支配されていた私に突如係員が近づく。
「申し訳ございません。安全装置が作動し、動かせません。降りてもらえますか?」
え。降りるといってもここは地上から13メートルも上空だ。
恐怖におまんじゅう顔を歪ませ、係員に支えられながらコースターの横についている階段に降りる。
13メートル下の地面までのろのろと階段を下るのだが、この乗り物は水を使ったアトラクションのため考えられないほど滑る。老人のスピードよりも遅く、なんとか地上に着くことができました。
着くや否や、係員たちの平謝り。何事かと駆けつける大勢の子供やアベックと順番待ちをしていた人達。
たくさんの人達に見られているという、やるせなさを感じながら小走りでアトラクションを後にしました。
01:ライトアップされた観覧車。とても一人では乗れません。
02:満足げに降りていく若者たち。仲間に入れてほしいほどにぎやか。
03: ワンダードロップから逃げるように去り、疲れ果てた私の足。いつもよりスニーカーが汚く見える。
なんだかとても疲れてしまい、お腹も空いていたので31アイスクリームでシュレックというアイスを買う。
映画「シュレック」の主人公、シュレックの色合いの紫と緑の色合いのシャーベット。シュレック本人がモチーフだということに後から気づき、おいしさ半減。実際もう一度食べたい味でもなかったです。
回るメリーゴーランドなどをボーっと見ていると寂しげな蛍の光が流れ出す。
初めての一人遊園地で、閉館までいてしまいました。それなりに、お腹いっぱいの内容でしたが、平日の空いた遊園地は物悲しいですね。
遊園地は楽しさや恐怖があふれるものなので、できれば一人じゃないほうがいいのだと実感しました。
一人はあまりにも寂しくて、おすすめできないです・・・。

まるでオルゴールのように寂しく鳴り響くメリーゴーランド。暗黒舞踏より重いものを感じます。
意地悪なほど明るい店内と、ドロドロ溶けるシュレックアイス。
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