六本木ヒルズ

Vol.09

セレブと一般人が唯一融合する街、六本木・・・
今や、はとバスの東京コースにもレギュラーエントリーしている、東京の新名所・六本木ヒルズ。
私も今をときめく六本人になるべく行ってきました!
Text/Photo:遠藤 香
地下鉄六本木駅。それは、結婚式か仕事でしか使わない、私の路線図にはインプットされていない駅。日比谷線を降りると、六本木ヒルズに吸い込まれるかのごとく、順路を人に流される。
心なしかみんなそれなりにこぎれいな格好をしているように見えます。
ヒルズの中に入る前に、突如巨大な蜘蛛発見!
恐る恐る近づき真下から見上げると、なんと網目状の腹の中に無数の卵。
突如現れた蜘蛛。六本人の財布を食らい尽くそうとでもいうのか。
曇天に非常によく映えますね。
六本人の散財を食らい身篭った卵。
どこへ行くでもなく彷徨う六本人予備軍。
早くも疲れて休憩する人多数。
「そうだ、ここはアーテリジェンスシティ六本木!高田馬場にこの蜘蛛がいたら気持ち悪いが、ここは六本木なんだ!」と自分を納得させてみました。今思えばあのお姉さんはサクラだったかもしれませんね。
巨大な蜘蛛に目を奪われているうちに、どちらに進んでいったらよいのかわからなくなる。
とりあえずグルグルと近代的な造りに惑わされつつあたりをキョロキョロ。しかしどの店舗も敷居が高く、どうにも気後れしてしまう。
チラリとショーウインドーから造花とインテリア雑貨の店を覗いてみると、カサブランカの造花が7,000円。
本物と変わらない値段ではあるが、これはイミテーションだ。枯れないだけお得だという考えなのだろうか。
客層と自分の生活水準がどんどん遠のいていく気がする。
通りには六本木ヒルズ土産の路面店が。六本木ヒルズや「ROPPONGI」とかっこよくプリントされたポストカードや、村上隆のあの花やグッズが程よい金額で売られている。
これが六本木ではなく、東京駅ならば「TOKYO」として売られるのだろうか。それを買う日本人もおかしいですが、デザイナーさんも大変ですよね。
目的も無くふらつけど、どこをみてもアート、アート、アート…。
今が二千何年なのかすらわからなくなってきます。
六本木の人の心を司る宇宙人たち。
これでもかというアート責めに、整然と並ぶロッカーすらアートに見えてきます。
これだけ村上色とアートに漬けられているというのに、アートブックのお店には客はいなく、がらがらでした。
全面アート過ぎて、店もオブジェにしか見えなかったのかもしれませんね。
買い物も特に無かったので、ヴァージンシネマにて「ディープ・ブルー」鑑賞。今まで見たことも無かった海の中の世界のドキュメンタリー。「渡り鳥」の監督です。
特にストーリーも無く、BBCの貼り付けのようなフィルム。話の無い映像のみの二時間に1,800円を使う自分に六本人を感じつつ、しばし徘徊。

それにしても、全体のつくりが不親切に思える。外国の方の来客も多いだろうに、日本語表記が多く、関係の無い部分でコンプレックス丸出しの英語表記。段差や、移動距離を考えると車椅子の方などには極めて不親切そうです。
また、館内で迷うことが前提であるように各所にインフォメーションが。全面アートや、敷居の高さで塗り固めすぎたせいか、はたまた人当たりを重んじたのかインフォメーションの人は田舎風のさえない白のポロシャツの若者でした。

展望台はカップルでいっぱい。登る気にもなれず。
ディープ・ブルーのディスプレイは水が流れていました。お金の使い方がすごい!
六本木ヒルズ・・・一体何をしたい人を集める場所なのか。
誰かに提唱したいだろう盛りだくさん過ぎるアーテリジェンスに、少々食傷気味に帰途につきました。
早く家に帰ってパンツでビールを飲みたい・・・。

六本人にもセレブにもなれなかったようですが、私はまぁ、缶ビールでプロ野球なわけで。
恥ずかしいと思ってない時点で、完成系であると実感するのでした。
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