土鍋ご飯 Vol.21
あらゆる失敗を連想させるパンドラの土鍋は決してあけるべからず。
今なにかと話題の土鍋で炊くご飯。専用土鍋なんてものまで発売されるし、ミュージックステーションでYUKIちゃんも家では土鍋でご飯というではないですか。それに対して食通タモさんも素早い喰いつき。これは自分もやってみなければと土鍋で炊飯してみました。
Text:堀江健太郎
土鍋で炊飯。YUKIちゃん曰くとても簡単と言っていたのだけれど、詳しくGoogleで調べてみる。するとさすが流行りというわけで、ゾロゾロ出てきます。各サイト少しずつ火加減調節が違うのですが、読んでみても簡単そうです。しかし白米だけ炊いてもしょうがありません。ここはひとつウマい白米には、ウマい煮物を用意してやろうと筑前煮にも挑戦です。 実はこの歳にもなって煮物を作った事がなかったのです。どうにも日本食というのは作るのも味付けも面倒な気がして避けてきたわけですが、白米には煮物しかないだろうという結論になりました。
まずは米2合をさーっと研いでザルにあけてしばらくほっときます。その間に筑前煮の具を切ります。人参、牛蒡、里芋、蓮根、蒟蒻、鶏肉。皮向きやら泥落としなどなど、材料も多くて準備段階で結構な時間がかかってしまいました。さて、これにて下ごしらえ完了。いよいよ土鍋に洗った米と水を入れて炊飯です。まずは中火。
ご飯と同時に筑前煮作りも始めます。鶏肉を炒めてから別皿に一時避難させ、野菜類をドドドーッと投入、お酒も少し入れて煮込みます。そうこうしていると土鍋が噴出しました。しまった!物凄いブクブクいってます。慌ててブクブクしない程度に弱火にしてあとは15分すればご飯は完成。
筑前煮鍋を覗くとお酒を入れただけなのに、随分野菜から水分が出てます。そこへ砂糖、醤油、そしてだし汁(ほんだし)1カップ。煮物っていうのは煮るというくらいなので鍋のように水浸しにするものと思っていたら、随分と入れる水分が少なくて驚きました。
グツグツグツと煮物の煮える音。ご飯は15分弱火でほったらかし。でもほったらかしほど怖いものはありません。炊飯の鉄則として「赤子泣いても蓋取るな」というくらいで、蓋は絶対に開けてはいけないのが逆に開けたくてしょうがない気持ちにさせます。あらゆる失敗を想像させるパンドラの土鍋。しょうがないから土鍋の匂いだけを頼りにします。マニュアルでは15分なんですが、10分ほどで微妙に焦げた匂いがする気がして、最初に噴いてしまったしなーと不安になり、思い切って10分で火を止めました。が、止めたからといって完成ではありません。ここからさらに20分ほどまだほったらかして、蒸らします。まだ蓋は取ってはいけません。
さて、ご飯はもう食べるまで本当にほったらかしなので煮物に専念できます。といってもここまできてしまうと、煮物もすることがありません。たまに鍋返しする程度。結構暇です。キッチンドランカーっていうのはこういう時に飲んでしまうんだろうなと、よやくその心理を知ることができた気がします。そんなことを思いながら鍋を覗いて、オロナミンCを飲む私。元気ハツラツです。
どきどきしながら土鍋の蓋を開けると見事な銀世界。これぞ銀シャリ!まぶしゅうございます。

土鍋の保温力で時間が経過してもまだまだほかほか。
暇だし、筑前煮とご飯だけも味気ないので冷蔵庫にあった魚も焼くことにしました。といっても切り身なのでこれも焼くだけ。やっぱり暇。これはもう我慢なりません。筑前煮の煮汁は一向に減る気がしませんが、魚が焼き上がったのを合図に全部終了!筑前煮の蓮根も牛蒡も煮えているので大丈夫と判断。全てを盛り付けて本日の夕食完成です。トータル100分。調理手順に再考の余地あり。
さて時間よりなにより肝心のお味です。初土鍋ご飯。炊飯器の水っぽさがなく、サラリとちょうどいいです。土鍋でご飯を炊くのは、かまどで炊いたご飯をおひつへ移すのと同じ効果があるのかもしれません。土鍋は呼吸する調理道具とも言われているので、この考えもあながち間違ってない気がします。
そして初煮物の筑前煮。煮汁判断ではまだ煮方が浅いかと思っていたけれど、十分煮えてるし、味も問題ないです。うまい。ご飯にも良く合うよ。白米に煮物の発想は間違ってなかったです。とても幸せ。旅館でご飯を食べている気分になります。土鍋で炊飯は意外と簡単、そして美味しい。これはブームに乗って試してみることをお勧め致します。
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