卒業制作鑑賞 Vol.22
作りっぱなしで見ることのなかった卒業制作に会いに行く。
中学校の卒業制作を作ったのは覚えているけど、作ったままで完成品を見ることなく卒業してしまった気がする。卒業から10年、初めて完成品を見てきました。
Text:堀江健太郎
以前通っていた学校とはいえ、門をくぐるのには結構な勇気が必要だった。なんといってもこのご時世なわけで、事情を説明するまでは不審者極まりないというわけだ。昔利用していた下駄箱を通り過ぎ、今の私は職員及び関係者玄関から入っていく。取材のお願いをしに事務室へ行くと、副校長先生の所へ案内され今回の取材の説明をする。学校というと普通の取材よりも敷居が高い気がして、断られるのではないかと緊張していたのだが、卒業生という事もあるのか快く承諾して下さった。

1.昇降口
入学当時はまだやんちゃな氣志團みたいな格好の先輩がいて、この上から机が降ってきたりしました。

2.下駄箱
今も昔も全く変わらない下駄箱。懐かしい。

3.噴水
当時は立派に使われていたが、今はただの池になってた。

自分たちが制作した卒業制作を説明して、思い当たる場所へ案内してもらった。それは昇降口で、第三期卒業生という初期生徒の特権として一等地に飾られていた。作った全体像はわからないが、作ったものはモザイク画だったのでそれはすぐにわかった。感動のご対面。思ったよりも綺麗に良くできている。それにしてもこんな絵を作っていたのかと、ようやく全体を把握できた。そもそも私はこの卒業制作においてはデザイン選びから関わっていたのに、どんなものだったかを忘れていたのだ。当時卒業制作はモザイク画で決まっていたのだが、制作するデザインは生徒達からの公募だった。結果的に数名の作品の良い部分を抜き出して再構成することになり、その中に私の素材も含まれていたので、今までずっと完成品がどうなったのか気になっていたのである。
「翔びたて 愛と希望と共に」
当時のスケッチブックに描かれていた、卒業制作のアイデアスケッチ。実際に採用された絵は学校に預けたっきり。自分の絵のどの部分が採用されたのか見てみたい気もします。
私の記憶ではハートと地球が天秤にかかっていて、それが釣り合っているという絵が自分のアイデアだったと思う。戦争や争いのない平和な心と、地球を守るという環境をテーマにしたような気がなんとなくするけれど、今思うと意味が全くわからない。モチーフとしているハートと天秤という組合せは、わかる人にはわかると思うけれど古代エジプト「死後の審判」という壁画から拝借したもの。
この10年で学校はどのように変わったのか、許可をもらって校内を見て回った。教室の振分が変わったりはあるけれど、基本的には何もかわらず、生徒たちも自分たちの頃とかわらずやっぱり中学生で、昔の自分もここに居たのだなとクロスオーバーした。

私の時は4クラスしかなかったのだが、現在は8クラスまであるそう。

その為か以前はテニスコートだった場所に新しい校舎が建っていた。これだけが唯一変わっていた点。

職員室の前は相変わらず薄暗く、緊張感が漂います。

人や街並は時間と共に変わってしまうし、文化は年代で懐かしいと思う感覚が違ってくるもの。しかし学校というのは昔からそこにあり、存在も中身も変わることがなく、その学校を卒業した人であれば、いくつの人であっても懐かしいと思えるちょっと特殊な場所な気がしました。

ハードコートのテニスコートは健在。昼休みはここでテニスじゃなくてサッカーしてました。

いろんな備品もまだ残っていて、どれをも見ても懐かしい気持ちになります。こんな気持ちになるのは、この学校の生徒だけなのかな?

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