献血 Vol.27
朝礼で倒れた事があっても献血には関係ないの!?
献血をする友人が言うには、献血ルームはジュース飲み放題だし、ビデオも見られるしかなりいい所だと言うのだけれど、私は貧血っぽいし遠慮してました。しかし興味はあったのでこれを機会に行ってみることにしました。
Text:堀江健太郎
午前10時。献血センターの開始と共に訪問しようとエレベーターに乗り込む。目的のフロアで扉が開くと、そこはもう1フロア献血ルームとなっていた。献血は病院のイメージが強くグレーな印象だったのだが、渋谷の駅前8階にあるそこはガラス窓で囲まれてとても明るく、眺めも内装も綺麗で圧倒された。 明るく清潔なイメージに赤い色が映えてオシャレな空間。窓からは渋谷が見下ろせて、よい景色。一歩入っただけでだいぶ印象が変わった。
始まって間もないのにすぐにベッドは埋まってしまった。いままでやらないからわからなかったけれど、献血は特別なことじゃなくて、普通なことなのかもしれない。 取材の打合せや話をしている間もゾロゾロと献血しにくる人々。10時半には全部で14個あるベッドが埋まっていた。「いつもこれくらい来て頂けると嬉しいんですけどね。」と苦笑いの広報の矢澤さん。この日は祝日だったので人も多かったようで、平日はもっと少ないんだとか。献血をしたことない私は少し申し訳ない気持ちになった。
献血は自分の意思でボランティアとして行うということで、まずは同意書を良く読んで了解をする。すると問診表を渡されるので、該当する箇所へマークしていく。主に今までどういう病気になったかや、どういう行動をしてきたかという内容。記入後受付に渡すと、次は先生との口頭での問診をする為、問診室に案内される。 先生には昨日の睡眠や、今朝の食事時間などを聞かれ、小学生の頃から朝食を食べない私は、今朝も例に漏れず食べていない事を伝えると、それはあまり好ましくないと厳重注意。朝食を食べないと気分を悪くする人がたまにいるらしく、まして初めてな私は傾向もわからないので、お昼を食べてからにしないさいと強く勧められた。血液提供者の安全をしっかり管理しているのがよく分かったが、しかし取材ということもあり問診後待合室でしっかり水分を摂る事と、気分が悪くなったらすぐにやめる事を条件に許可をもらった。
問診後は看護士さんに簡単な血液検査をしてもらう。血管の出やすい(針の刺しやすい)腕は残して、逆の手で採血。ここでは血液型や献血できるかどうかを簡易的に判断するとのこと。5本の試験管に血液を取り、遠心分離機などにかけていろいろ測定。私の手首にはバーコードの札を付けられ、それによってデータをいろいろ入力していく。機械で何度かバーコードを読み取られ、番号で管理される近未来を少し体験。それにしてもバーコードの読み取り精度が高く、お店のレジ経験がある私はうらやましく思いました。
献血する人はバーコードで管理されます。でも呼ばれる時はしっかり名前です。
あとは献血に移るのだが、ベッドが埋まっているので空くまで問診の先生との約束通り、ロビーで渋谷の街を眺めてジュースを飲む。血液の90%は水分ということで、献血に水分補給は必須なのだそう。運動しないのに汗かいているようなものだと言われて納得。フロアにはカップの自販機があるのだが、ボタンは常に点灯。つまり噂通り飲み放題。しかしそれは客寄せのサービスではなく、しっかりとした理由があったのだった。
しばらくして順番がきて呼ばれる。最近は血液中の血小板など必要な成分だけを抜き出し、その他の成分は体内へ戻すという成分献血というのが出来るようになったそうで、これにより献血センターとしては欲しい成分だけを貰う事ができ、提供者は体の負担が少なくて済むのだそうです。私も「血を抜かれる=貧血」と連想をして献血を敬遠していたのだけど、そんな心配は全くなく、そもそも満員電車や朝礼で貧血になる原因のほとんどは体調に由来していて、脳に酸素が回らずに起こるものなので、一般的に思われている貧血のほとんどは血液の問題ではないとのこと。説明されてやっと知った真実。それを知っていればもっと早く献血していたのに!私の周りでも貧血が心配で献血を避ける人が沢山いるので、この事実はぜひとも広めるべきだと思いました。

←こちらが採血する機械。遠心分離機が付いていて成分を抽出。5分ほど採血して、しばらくすると残りの血液を戻す作業に。それを3,4回繰り返す。

↓献血中はテレビやビデオ、雑誌、漫画を読んでリラックス。漫画は人気の漫画、新しい漫画も沢山ありました。

ベッドというよりも物々しく装備された歯医者のような椅子へ案内され、献血を始める。しかしその物々しさは献血の装置ではなく、血液提供者へのサービスの設備でした。ベッドに取り付けられた液晶テレビ、そしてビデオとDVDデッキ。成分献血には30分〜1時間かかる場合もあり、ここで色々見ることが出来るというわけだ。その他にも雑誌、漫画が豊富にあり退屈はしないだろう。私は漫画を持ってきたのだが、右手は献血中の為使えず、マンガ本を片手で読むのは少々難儀し、雑誌にしておけばよかったと後悔。でも映画を観てたら中途半端だったろうなと、それは選ばずに正解でした。
40分ほどで献血が終わり、再びロビーで休憩。献血さえ終わればあとは自由で、飲み物を飲みながら漫画を読んだりゆっくり出来る。各献血センターで独自のサービスがあるらしく、ここ渋谷「SHIBU2」献血ルームではドーナッツとアイスクリームが提供されてました。献血には甘いものが良いそうな。
献血を終えたロビーは待っている人も増えていて、まるで喫茶店のよう。友達同士や親子も見かけ、そういう時間の使い方もあるんだなと思いました。献血可能な人たち全員が年に1回献血をすれば、なんの不自由もなく十分なんだということですので、私のように献血による貧血を恐れていた人も、なんとなくした事がない人も、献血へ出かけてみてはいかがでしょうか。いたれりつくせりなのに、ボランティアしたいい気分も味わえて、なんかまた来たくなりますよ。 今回取材させていただいたのは渋谷に3件ある献血ルームの1つ「SHIBU2」で行いました。献血についての詳しい情報やお近くの献血できる場所については日本赤十字のWebサイトをご覧下さい。

【日本赤十字】
http://www.jrc.or.jp/
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